
グレンモーレンジィを読んで愉しむ

グレンモーレンジィを読んで愉しむ

グレンモーレンジィと和が融合したスペシャルなカクテル
スコットランドが生んだ、柑橘香る華やかなシングルモルトのグレンモーレンジィと日本の伝統文化。こんな意外な組み合わせから素晴らしいフュージョン(融合)が奏でるスペシャルなカクテルを今回はご紹介します。カクテルを考案したのは、「アジア最高のバー50選」にも選ばれた、日本を代表するオーセンティックバー、「Bar Benfiddich(バー ベンフィディック)」のバーテンダー・鹿山博康さんです。ご自身の畑で栽培されたフレッシュハーブやスパイス、日本の草根木皮を使った薬草酒を出すお店として有名ですが、グレンモーレンジィと日本の文化を融合させたスペシャルなカクテルをご紹介いただきます。案内役は、MHD モエ ヘネシー ディアジオのシングルモルトアンバサダー、ボブことロバート・ストックウェルです!
グレンモーレンジィと日本の文化の華やかな出会いを演出!

ボブ:今回のコラムは、東京・新宿にある日本を代表するバーの名店、Bar Benfiddich(バー ベンフィディック)さんからお届けします。店主の名バーテンダー、鹿山博康さんにグレンモーレンジィの特別なカクテルをご紹介していただきます。鹿山さん、よろしくお願いします。
鹿山さん:よろしくお願いします、ぜひお任せください!
ボブ:これは心強いですね!今回のカクテルのテーマを伺ってもよろしいですか?
鹿山さん:グレンモーレンジィは、エレガントで、華やかなシングルモルトウイスキーですので、カクテルで使う材料も、エレガントで華やかなものをチョイスしました。日本の里山に生えているクロモジ(黒文字)の木から作られたクロモジ茶を使って、グレンモーレンジィの「茶割り」を作ります。

ボブ:クロモジですか?グレンモーレンジィと日本の里山の木と聞くとちょっと意外な感じもしますが、どういったところからインスピレーションを得られたのでしょうか?
鹿山さん:今回は、グレンモーレンジィの新しいカクテルを考案するということで、バー ベンフィディックらしく日本にある素材を使おうかなと。クロモジは、実は昔から日本の文化と深い関係のある木です。だから、日本とスコットランドをつなげてみようと思ったのがきっかけです。
ボブ:なるほど、和と洋、日本の文化とグレンモーレンジィのすごいフュージョンというわけですね。素晴らしいです!早く味わってみたいですので、さっそく作っていただけますか!
鹿山さん:もちろんです!では、作り方をご紹介していきましょう。
「日本の里山香るグレンモーレンジィの茶割り」の作り方



鹿山さん:まずは、グレンモーレンジィをグラスに45ml注ぎます。そして、クロモジを15分間煎じて作ったクロモジ茶を用意して冷ましたもの、これを75ml入れます。いわゆる、ウイスキーの水割りの亜種のような感じですね。
ボブ:なるほどですね。配合の割合もすごく大切だと思うのですが、45:75、この割合には何か理由があるのですか?
鹿山さん:これは僕が日夜、1ミリ単位でこれぐらいかな?と調整しながら完成させた、茶割りの究極の配合です!
ボブ:それはすごい!カスクフィニッシュのパイオニアと呼ばれるグレンモーレンジィに通じる、パイオニア精神をお持ちですね。
鹿山さん:ありがとうございます。(ボブさんの前にグラスを近づけながら)ほら、いい香りがしますよ。


ボブ:読者の皆さんにはこのコラムでお伝えできないのがすごく残念なほど、素晴らしい香りがします。
鹿山さん:茶割りにしたものをステアして、さらに、少し冷やしながら水を足して希釈していきます。

ボブ:ソーシャルディスタンスを保つために、鹿山さんとは少し離れた位置に立っているのですが、ここからでもカクテルの良い香りが漂ってきます。
鹿山さん:はい、香りがあたりに広がっていますね。そうしましたら、ワイングラスをご用意ください。
ボブ:ウイスキーにワイングラスというのも、これまた斬新ですね。


鹿山さん:ワイングラスに氷をポンと入れてから、茶割りにしたグレンモーレンジィを注いでいきます。注ぐ際は、氷に当てるのがポイントです。氷に当たって跳ね返った水滴(雫)がグラスに付いていきますが、これで「雨上がりのグレンモーレンジィの香り」を表現しています。では、もう一度香りをかいでみてください。
ボブ:素晴らしい香りがします!
鹿山さん:最後に、グレンモーレンジィの香りを充満させたこのグラスの中に、ガーニッシュとしてクロモジの木を入れ、蓋をしたら「日本の里山香るグレンモーレンジィの茶割り」の完成です。

「日本の里山香るグレンモーレンジィの茶割り」をテイスティング!

ボブ:見た目にも素晴らしいですね。ありがとうございます。では、いただきたいと思います。・・・素晴らしい!バニラや柑橘の香り、ピーチのような風味もするグレンモーレンジィさが表現されていますが、特にバニラは樹木由来の香りなので、このクロモジの香りとも良い具合にマッチしていますね。
鹿山さん:そうなんですよ。

ボブ:良い香りが混ざり合いながら口の中に入ってきます。まさに美味い!のひと言ですが、香りの相性が本当に良く、お茶の渋みをまったく感じないですね。すっきりとした味わいの中に、良い風味が感じられるカクテルだと思います。
鹿山さん:ワイングラスを使うことで、グレンモーレンジィの香りがグラスの中で対流していて、それが良い香りを生み出す素になっています。
ボブ:ところで、今回材料に使っているクロモジの木について、ちょっとエピソードがあるそうですね。
鹿山さん:はい、実はクロモジは、現在でも和菓子を食べる際に使う高級な爪楊枝として使われていたりします。平安時代には、抗菌作用があることが知られていて、当時はクロモジで歯を磨いていたそうです。さらに、抗菌作用があるために、茶道で千利休が活躍していた時代には、茶菓子をいただく際、クロモジを使った爪楊枝という作法ができたといいます。クロモジの枝を包丁で削って、楊枝を作っていたそうですよ。

ボブ:まさに、スコッチウイスキーと日本の伝統文化の素晴らしいフュージョンを感じさせてくれるお話しですね。ちなみに、鹿山さんのお店の「Ben Fiddich」ですが、スコットランドで使われているゲール語で、“Ben”は「山」、“Fiddich”は「鹿」という意味があります。とても素敵なネーミングですね。それでは、今回はこの辺で。本日はありがとうございました。
鹿山さん:ありがとうございました。
ボブ:そして、読者の皆さん、スランジヴァー!
鹿山さん:スランジヴァー!

<「グレンモーレンジィ 里山香る茶割り」のカクテルレシピ>

<店舗情報>
Bar BenFiddich(バー ベン フィディック)
東京都新宿区西新宿1-13-7 大和家ビル9F
03-6258-0309